進化の過程
(AICoreの設計書を読むにあたり、進化と脳の関係について、弊社の考えを予め知っておいて頂きたいと考えております。
独創的な内容になっていますが、進化論と脳の仕組みを混同して考える人が少なからず存在するため、 まずはこの辺りの考え方の違いを明示しておきます)
脳だけでなく、進化の過程にも着目することで、より精度の高いAIを生成できることを期待して考察します。
知的生命体は元々、単細胞から生まれ、人間まで進化してきたと考えられています。 この過程を意図的に発生させようと考えた場合、ある個体に環境パラメータを注入することでその環境に耐うる個体へ成長するというのが、 おおよその人工的な進化の考え方です。 環境パラメータとは、個体から見た外部の情報であり、人間で言えば、その多くは五感からの入力情報を指します。 個体にこの環境パラメータを与え続けることで、特定の個体へ成長するのであれば、この環境パラメータを調節することで、 意図した知的生命体を生成することが可能ではないのか?というのが進化論を用いた人工的な知的プログラムの作成の試みで あると考えてもよいでしょう。
つまり、進化した個体とは、
進化した個体 = 元の個体に時間をかけて環境パラメータを与え続けた結果、次世代でその環境に適応した個体の事。
と言えそうです。
(ちなみに、世代交代無しで起こる環境適用の生態変化があるとすれば、それは『変態』などと言われています。 『進化』という言葉には世代交代が起こるという前提が含まれています。)
しかしながら、人類歴史上、個体の世代交代において進化したという目撃例は無いため、一般的には、生殖細胞により 減数分裂した際に突然変異した細胞が環境の適応できる場合に残り、進化に至ったと考られています。
しかし、CELESTEE討論会では、その可能性は極めて低いと結論付けています。
なぜなら、環境の変化と同時に、(一定確率で起こると言われている)突然変異が同時に起こり、更に、その環境に適用するような変異 であるということが、偶然であるとは考えにくいからです。
つまり、環境に適応する進化が偶然にして起こったわけではないと考えるのならば、個体の生存中に受け続けた環境の刺激が、 何らかの形で次世代のDNAへ引き継がれていると考えるのが自然です。
つまり、人工的な知的プログラムを作成する観点だけから見て、進化とは、
進化 = 生存中の個体が生殖細胞の塩基配列に環境パラメータの情報を追加すること。
ではないだろうかと言えそうです(塩基配列の追加が、いつ発生するかは言及しないとして)。
ここまでの話でお気づきかと思いますが、進化や変態によって、脳構造が変化することにより知能が生まれているわけでは ないということです。DNAには生物の個体製造情報が含まれていますが、人間は進化・変態していなくても、成長する過程で学習できることは明らかです。 つまり、環境適用による進化論は知性の発現とは関係が薄いと言えそうです。
また、
上記の理論で、単細胞から任意の意図した個体へ成長させることができたとしても、 知能のメカニズムはブラックボックス化されたままとなり解明できたとは言えません。 知能のメカニズムが解明できないのならば、CELESTEEの本来の目的は達成できない可能性が高いということになります (脳そのものの制御ができない場合、製品として大きなリスクを持つことになります)。
ところで、人間の脳は、どのように進化して行ったのか?ということを少し考察しておくと後で、人工知能製造に役に立ちそうです。
単純にDNAに含まれる塩基配列の情報が人間の製造設計図であるならば、その情報は線(塩基配列)という1次元の情報で扱われていることになります。
先程の話と合わせて考えると、おそらく進化の情報は塩基配列に追加方式で積まれてゆき、塩基配列の利用も端から利用することになりそうです。 ただ、人間の場合、染色体が23組(46本)あるので、人間を製造する上で23か所の製造分岐点があるとも読み取れそうです。 例えば、1組の染色体に腕の製造情報の後に指の製造情報が並んでいるはずで、指の製造情報の後に爪の製造情報があるイメージです。 指の製造情報の後に鼻の製造情報は並んでいないと想像できます。ちなみに、ある1組の染色体がXXかXYで性別が別れます。
このことを考えると人間の脳の形成は、追加方式であったと考えてもよさそうです 。 実際、体部位再現地図によると、ボディインターフェースが隣り合うならば、体性感覚野もまた隣接しているという事実があります (次回人間の脳が進化する時は、前頭葉のような、●●脳というのが後付けで発現するのではないでしょうか)。
この時点で人工知能プログラムも脳の追加方式で進化できるようにする必要があります。とも言えますが、 逆に言えば、追加方式で機能アップできるという見方も出来き、進化の過程通りに脳機能を追加方式で 設計できるということを示唆していることにもなります。 複雑な脳構造をいきなり考えるのではなく、原子生物からバージョンアップしていけばよいのです。
ただ、原子生物には脳はないので、脳の発現から機能を考えていけばよいということになります。
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