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実行条件の抽象化による学習

環境的欲求の生成では、入力刺激を実行条件に変換します。 このことから、AICoreの置かれる状況が類似する場合において、実行条件の刺激がいくつか類似して 別々の環境的欲求が生成されることが想定されます。
しかし、 AICoreへの刺激の入力間隔が短い状況(欲求生成に沢山の入力刺激が含まれる状況)や、新規IF増設(欲求生成の実行条件が増える)においては、 1つの環境的欲求生成に対する実行条件となる入力刺激数が増加し、多数の実行条件を含む環境的欲求が生成されやすくなります。 一つの環境的欲求の実行条件の数が多くなると、類似の状況で生成された環境的欲求が複数存在しているにもかかわらず、 それぞれ別の状況と捉えてしまい、類似の状況なのに、類似の環境的欲求から出力刺激が発生しないという事態を引き起こします。

しかし、これは沢山の実行条件を持っているという精確さの現れでもあり、 実行条件が多数になる事が悪い事であると決め付けられません。むしろ良い事のはずです。 しかし、マシンパワーにも限界があり、この辺りを解決する方法が、学習であると考えます。 つまり、類似の事象に対して同様の行動がとれる事を目的とした学習機能を実装しようと思います。

ただ、学習機能を実装しますが、その一方でAICoreへの刺激の入力間隔を短くすればするほど、 短い間隔で環境的欲求を生成出来るようにAICoreを設計しようとも思います。 こうすることで、入力間隔が短い状況でも実行条件数が過多にならないように配慮します。
また、この実行条件数の調整機能が無ければ、刻一刻と変化する状況に素早く反応出来なくなり、状況変化についていけなくなります。

では、学習機能について説明します。

やっと本題ですが、AICoreが刺激を受けて、環境的欲求から出力刺激を発生させる過程で、実行条件が一致している必要があったかと思います。 上記の説明において、類似の状況が発生していたとしても、精度が上がれば上がるほど、完全一致は難しく、 完全一致しない事には、環境的欲求の出力刺激は発生しそうにありません。 そうすると、精度を上げれば上げるほど、生成した環境的欲求は利用されない事になります。 当然ですが、一度しか経験しない事は、記憶にそんなに残りませんね。
後述しますが、利用されない環境的欲求はいずれ、消去します。
つまり、一度しか経験しない類似の状況を沢山経験した時に、これらを纏めて同じだと解釈する事が出来れば、 類似の状況において、環境的欲求の出力刺激を発生させる事ができます。

具体的には、類似する環境的欲求から、実行条件を抽象化する機能を追加します。 また、抽象化する際の出力刺激に混乱を起こさないために、同一の出力刺激を持つ環境的欲求で抽象化を行うようにします。 これにより、抽象化された環境的欲求が新しく生成される事になります。 (類似する環境的欲求の実行条件のうち、共通する実行条件を抜き出し、新しく環境的欲求を生成する)

実行条件の抽象化による学習


では、抽象化された環境的欲求は、どの様に利用されるのかというと、通常の環境的欲求と同じです。
ただ、前章でお話したAICoreが入力刺激を受け付けた際の欲求の選択基準に、「複雑さ」を含めていた事を思い出して下さい。
つまり、抽象化した環境的欲求と抽象化前の環境的欲求では、

抽象化した環境的欲求 < 抽象化前の環境的欲求

という実行時の欲求選択の優先順位が成り立ちます(上記の式では、大きい方が優先)。 知的好奇心とも関係すると考えられますが、より複雑な環境的欲求が優先されることによって、 類似する状況での繊細な出力の違いも実現させる事が可能です。




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