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ミラーニューロンによる行動の獲得

欲求の存在そのものが行動の根源であるという設計をしてきました。 その欲求は、行動と快楽から生まれます。そう考えると、鶏と卵の話の様に、 欲求か快楽&行動が先に存在している必要があります。勿論、AICoreのすべての動作は、 生得的欲求に紐づけられていますので、生得的欲求に限っては欲求が先に存在していますが、 それ以外の欲求は、この生得的欲求をトリガーに派生して生成されます。

行動の獲得方法は上記で良いとしても、常に運良く快楽が入手できるともかぎりません。 特に、AICore生後の初期段階において、運良く快楽を得られれば良いですが、運任せでは、 個体の生存率が危ぶまれます。そこで、食物連鎖の上位に立つ哺乳類に、 ミラーニューロンという神経細胞が、これをカバーしている可能性が高そうだという仮定のもと、 行動獲得を強化する為の理論を構築していこうと思います。

ミラーニューロンとは、霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動する時と、 他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活動電位を発生させる神経細胞であり、 他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように"鏡"のような反応をすることから名付けられたと辞書にあります。 これは、真似という行動を獲得することに大きく関与していそうです。 もし、ミラーニューロンがあることで、真似るという行動を獲得できるのであれば、 AICoreの教育でも活用すべき機能であることに間違いありません。これによりAICoreへの教育手段は広がります。

まず、ミラーニューロンを考える上で、今までの設計思想は受け継ぐものとして話を進めていきます。 簡単に言えば、『celesteeのAICoreにミラーニューロンを実装するとしたら』を考えるということです。

celestee式で考えれば、真似をするということは、真似をしたいからであり、 欲求が生まれ解消したいことを意味しています。その欲求が、真似をしたい欲求なのか、 真似をする事で得られる結果に対する欲求なのかは不明です。

例えば、大人が笑顔で接すると赤ちゃんも笑顔をよく見せるようになるのは、ミラーニューロンのせいなのでしょうか?

もし、大人の笑顔をみて快楽が発生したとすれば、それはもしかすると、形の変化による面白さなのかもしれません。 形の変化による快楽であれば、色々な形へ変えることで赤ちゃんは喜ぶ事になります。 これは、実際の事実とも一致します。しかし、赤ちゃんが笑顔を作る根拠にはなりません。

ここで、よくよく考えてみると、大人が赤ちゃんに笑顔ではなく、変顔してもこれを真似ることはありません。 これはミラーニューロンの働きと矛盾しています。そうすると、笑顔とは生得的欲求の可能性があり、 例題として不適切な可能性があります(動作が単純すぎる)。 つまり、笑顔というアウトプットは、何らかの快楽を得た時に出力する抽象的な欲求の出力結果という可能性が高いと考えられます。

そこで、もう少し高度な真似事で考察する必要がありそうです。高度な真似事として、積み木を積むとしたらどうでしょうか? これにはかなり複雑な動作が必要であり、生得的欲求ではない事は明らかです。

積み木を積むという動作を真似するのは人間の赤ちゃんでも一歳を超えた後の話になります。 この真似事において、積み木が積まれている事への興味か、積み木を積むという動作への興味かというと、 積み木を積めるまで満足そうにしないという反応が一歳児にみられるケースがあることから、 行動過程に対する欲求ではなさそうだと考えてみます。 積み木を積んだという状況変化、もしくは、積まれた積み木そのものに興味が湧く(欲求が発生する)という仮定で進めたいと思います。

詰まる所、ミラーニューロンは結果的に行動過程を真似した状態に反応しますが、 真似の本質は、行動過程への興味ではなく、行動過程の結果、発生する変化に対しての興味ということではないでしょうか? イヤイヤ、子供はよく真似するじゃないか!って思うこともあるかと思いますが、 欲求発生と同時に欲求達成への道筋が目の前で行われているので、それを再現する発生頻度が高いのは言うまでもありません (行動過程が楽しそうでそれを真似するケースはあると思いますが、その状況においては行動過程そのものが「達成目的」に変わっているといえます)。 ただ、この見るだけで、行動を真似るという現象において、真似事の解析以前に、 もっと驚くべき現象に目を向けたいと思います。

それは、個体が「見た」時の反応と、その個体の「行動」時に見られる反応と、 同様の反応がみられるというこのミラーニューロンの働きの本質は、

『見るだけで、既存快楽への誘引経路が(イメージインターフェースにより)確立され、かつ、 知識の連結により快楽(知識連結快楽)が生まれる (知的好奇心(知識連結快楽の不満値発生)については、別章にて説明します。知的好奇心とミラーニューロンは深く関連しています)』

という事象ではないかという事です。

これらを整理すると、過程を真似する事象は、主に以下が想像できます。
・「見る」ことによって、道筋(誘引経路)が分かり、やりたかったこと(既存の快楽取得)を達成する「行動過程の真似」
・「見る」ことによって得たイメージ情報の面白さにより、新しくその状況を求める「結果の真似」
 (1つ目と同様に、必然的に目の前で見た行動を真似る可能性が高い)
・「見る」ことで知識連結快楽が発生し、「見る」という行動の発生頻度を高くする「真似を求める行動」

この整理であれば、産まれたての人間にでさえ、行動を起こさせ易く、 沢山の学習を経験するのに適していると言えるのではないでしょうか。 celesteeとしては、ミラーニューロンにより、真似をするという機能そのものは存在しないものとして、 同一結果を求める行動が、欲求という機能を通して、真似しているように見えるのではないかと結論付けています。




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