有意識を支える無意識
CELESTEEの情動理論を結果的に肯定する幾つかの説もあります。
例えば、ポルトガルの科学者アントニオ・ダマシオによれば、
道端で野獣に出会ったなら、心臓の鼓動が早くなり、筋肉が収縮し、
大事な会議で発表するような場面であれば、手に汗を握ったり、口の中が乾いたりする反応が情動であると。
この反応を無意識の処理と定義付け、この反応による情動の評価を有意識で行うとそれが感情であるという説です。
他にも、19世紀のウィリアム・ジェームスは、人間は外界の出来事を知性によって論理的に理解しているかもしれないが、
外界に対する豊かな感情的反応は、その出来事に対する身体反応(手のひらに汗をかくたど)を
自覚することによって引き起こされるという説です。
いずれも、無意識下の行動と有意識下の行動で分けることができますが、
無意識下の行動が「自動的な」というか「物理的な」反応であると定義されている点は、CELESTEEの理論と少し違います。
CELESTEEでは、無意識下の行動は、AICoreの環境的欲求の獲得によって成り立つもので、
特定状況下における環境的欲求の出力は幾つものパターンを持つことが可能で、
経験によりどの環境的欲求を利用するかが変わるという可変的なものであると主張します。
また、逆説的な理論においては次の解釈をしています。例えば、幸せだから笑顔になるというロジックを逆説的に、
無理やり笑顔にすることによって幸せな気持ちになれるという理論は、
これが科学的に立証された事実でありながらも、ロジカルな処理が逆転したものとは考えていません。
これは、過去に幸せで笑顔だった時に生成された快楽を共感により刺激する作用が働いていると考えられ、
自分が笑顔であるという入力刺激を受けることで、感情面(共感)から幸せな気持ちにさせる作用だと考えています
(共感については別章にて説明)。
その他、事実として、人間では内部感覚から取り込まれる全ての情報の統合を司っているのは脳の島という部分であると調査により示されています。
脳の島は、外界に対する神経の反応を反射的に無意識に抑制する働きをすることもあり、
身体と無意識の脳の反応が関係することを示しています。
ちなみに、身体活動が無意識の思考と関連していることを示す世界で最初の例は、嘘発見器と知られています。
存在しているという最も基本的な感覚は、体内の状況を感じる能力よって支えられていることを示唆しており、
信じがたいと違和感を覚える人もいるかと思います。臨床データとしても、心臓を取り除き、
人工心臓を取り付けたことにより性格が変わってしまったという例もあり、とても興味深い事実です。
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