思考を支える無意識の脳内プロセス
意識して決断するタイミングよりも前に、無意識の思考がその決断を先立って決定しているという実験結果があり、
この結果について検討したいと思います。
これが本当であるならば、運命論や宿命論のように脳は意識の中で決断している「つもり」なのかも知れません。
ベルリンで行われたジョン・ディラン・ヘインズ神経学者の実験では、
被験者は脳スキャン装置の中に横たわりながら、ランダムに文字を見せられ、
好きなタイミングでどちらかの手でボタンを押すように指示されます。
ボタンを押すと決断した瞬間にスクリーンに映し出されている文字を覚えておくことが条件です
(スクリーンの数字を見て判断するか、その前から判断してもよい)。
この実験にて、ボタンを押すという決断は、実際にボタンを押すよりもおよそ1秒早く決定されており、
更にボタンを押すことにつながる脳の活動パターンが、
実際にボタンを押す瞬間から最大7秒遡ることができたという結果が出ています。
被験者が決断するよりも前にこのような無意識の思考(意識にのぼる前の脳内のプロセス)が
決断を支えていることが明らかになっています。
このような単純行動であれば、おおよそ無意識の思考が決断を決めていると言えそうです。
つまり、有意識の発生時点、もしくはそれより前に決断は決まっており、
有意識は後から補足的に加わるという考え方があるという話です(CELESTEEでは少し違う見解をしています。後述)。
一方、人間には自由意志があると謳われています。
自由意志とは、人は自分の意思で自由に考え、行動を決めているという、ごく自然な理論です。
無意識の脳内プロセスが存在し、これが有意識のもとになっていると知っても、
この自由意志が存在するという見立てはおよそ変わりません(反論する科学者はいます)。
CELESTEEの理解する自由意志とは、
無数の論理的欲求から構築される無限とも言える程の組み合わせから成るネットワークによって、
唯一選択される至高の一手のことだと考えています。これは、体のホルモンバランスから、
過去の経験(欲求)、ボディインターフェースに渡り広く影響を受けるものです。
つまり、自由意志は、論理的欲求から成るあまたのネットワークが存在する前提で、
論理的欲求の出力が動作することで有意識を認識した個体が、
すなわち、それが自由意志であると認識するものと考えています。
複雑な論理思考を必要とする決定事項であれば、誘引検索の中で論理的欲求が動作し、
網膜への出力刺激などで、意識に登った後に決断過程を個体が認識することになります。
この決断過程を見たときに、脳が再入力された入力刺激に対して、幾つかの分岐パターンを持っていれば、
自由意志によって選択したとなると想像します
(再入力することによって分岐パターンが生成・選択される為、自分で決めたという実感がある)。
例えば、悪性腫瘍などの治療法を選択する場面では、外科手術を選択するか化学療法を選択するかなどです。
このような選択は、論理的欲求のネットワークが、
つまりは、無意識ではない脳内プロセスが答えを決定していると考えます。
突き詰めると、自由意志は有意識の中で決断されますが、過去の経験やボディインターフェースの在り方によって、
その選択結果はおのずと1つに決まるとされ、これらの要素から確定される
(およそ不可能だけど先読み可能な)ものであると言えます。
経験値やボディが全く同じ個体が存在する場合(つまり、クローンした知的生命体)は、
同条件下(時刻も環境も全て同じ)において100%同じ行動をするという見立てです。
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