快楽の伴わないワーキングメモリ(欲求利用履歴)の定着
AICoreが快楽を受けた時、欲求が長期記憶として保存されるお話はしましたが、定着済みの記憶に未定着の記憶を紐付けることで、
未定着の記憶を定着し易くするという事象が人間において確認されています。
これは、記憶定着の訓練を受ければ誰でも起こる事象だそうです。
ここでは快楽の伴わない記憶の定着について、AICoreの設計と比較します。
世界には記憶力の世界選手権のような大会が存在し、そこでの勝者は人間離れした記憶力を発揮しています。
例えば、よくきった1組のトランプを21.5秒で覚えるなど、一般の人からは想像もつかないスピードで数字や記号を暗記します。
ある科学者は、このような記憶の定着訓練を受けた人の脳をスキャンした結果、一般の人と構造的な違いが無いことを確認しています。
このような人達が、意識して記憶する際の脳の活動を記録した結果も公表されており、
その結果には、空間認識と方向感覚に関する脳の領域を優先的に使っていることが確認されています。
これは、快楽無しで記憶を定着させる方法が存在することを明らかにした事実です。
想像の中で記憶を定着させることから、AICoreでは論理的欲求の生成が、これに近しい実装を可能にできると考えられます。
よって、未定着の記憶(ワーキングメモリ(欲求の利用履歴))の中に忘れにくい欲求を登場させる事で、
ワーキングメモリにある欲求利用履歴を忘れにくいようにしたいと思います。
つまり、未定着のワーキングメモリを「欲求解消の実行計画」として保存します。
(必要最低限の機能ではない為、初期開発では実装しません。
快楽を得た時のワーキングメモリ(欲求の利用履歴)の定着については、初期段階で実装します)。
ちなみに、このような脳の活動状態は「記憶の宮殿」を歩き回るという表現をするようです。
或いは、記憶のテクニックと云うべきかもしれません。このテクニックを利用すれば、一般人離れした記憶力を発揮できるでしょう。
また、記憶の宮殿を使ったのかは不明ですが、記憶力を高める訓練をした人の人間離れした結果として、
チェスの試合で目隠ししたまま34面を同時にさし、24勝、10引き分けのギネス記録があります。
その他、自伝的記憶力(HSAM)という完全記憶力を持つ人もいますが、このような実装が良いのか悪いのか判断がつかない為、
実装対象外として進めます。
余談ですが、自伝的記憶力を持つ人は、数列やテーブルの上にあるものを覚えるのは同年代の人と変わりないという結果もでており、
学校時代の成績も特に良いわけではないことが明らかになっています。
自伝的記憶力の持ち主の本人も事実関係や数字を覚えるのは苦手という調書も取れているようです。
この人達は、自身が刺激を受け、関係のある事を完全に記憶できるというもので、共感覚という状態ではないかといわれています。
共感覚とは、健常な人では、別々に知覚される感覚を同時に感じてしまう状態です。
その為、自身の受けた刺激が完全に記憶として定着し、そこに紐付いた事柄を忘れないでいられるという説が有力です。
この仮説は、AICoreの「欲求」=「記憶」である仕組みを肯定するものであると理解できます。
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