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触覚の補完

ラバーハンドイリュージョンという奇妙な体験をご存知でしょうか? テーブルの上にゴム手袋を自分の手であるかの様に用意して、本物の自分の手はテーブルの下に隠し、 見えない様にします。ゴム手袋は自分の服に繋がっているようにするなど自己所有感を高める工夫が必要で、 2~3分、筆でゴム手袋と自分の手の同じ場所を撫でてあげます。 すると、ゴム手袋だけを筆で撫でても、自分の手が撫でられた感触を得られるという不思議な体験です。

このラバーハンドイリュージョンは一体どのような現象であると理解し、整理すればよいでしょうか? 共感覚とは違い長期間の訓練は不要ですが、現象を引き起こすまでに少し時間がかかります。 視覚的な錯覚は無く、明らかにゴム手袋を認識したまま、感触を脳内で復元していることが伺えます。 補完とはまた少し違うよう?ですが、これは一体何なのでしょう?

筆で撫でると、視覚から取り込んだ情報で触覚刺激を再現させるものと考えれば、ゴム手袋でなくとも、 テーブルを撫でるだけでも同じ現象が起きるのではないか? という疑問が湧きますが、これは聞いたことがありません。 わざわざゴム手袋にする理由は、あたかも自分の体の一部である事を錯覚させる為に他なりません。 筆で撫でるという視覚的な入力刺激を実行条件とした単純な補完だけでは説明できないということになります。 そして、このラバーハンドイリュージョンは、被験者によって現象を起こす人とそうでない人がいるようです。 被験者個別の何らかの経験の違いや個体差がラバーハンドイリュージョンの現象確認に大きく影響しているようです。

この辺りを多角的に捉えると、1つの機能が生み出したものというよりは、 複数の機能によって生み出されたものという可能性が頭をよぎります。

つまり、抽象化機能によりゴム手袋を自分の手と似たものと認識させ、 補完機能による触覚刺激の補足で妙なリアリティを生んでいるのではないかと考えます (補完により触覚刺激が再入力される過程によって実感が伴う)。 これは、エレベーターや遊園地の乗り物で体が物理的に急降下する時のフワッとした感覚(実際の感覚)と、 映画館で空を飛ぶテープが再生れている時に感じるあのフワッとした感覚(補完の感覚)が何故か同じであることと、 同一現象が起きていると仮説を立てたいと思います。体は風景を見なくとも、急降下すればフワッとした感覚を体感し、 この時、急降下していると理解しています。 この理解があって、大画面で空から急降下する映像を見ると、 この理解からフワッとした感覚を補完(再現)させる働きがあるとみています。 このように考えると理解なくして補完されないのですから、 ラバーハンドイリュージョンにおいてもゴム手袋を自分の手であると認識しなければ現象を確認することができません。 よりリアルなゴム手袋であればある程、この現象が発生しやすいというのが事実である為、 この仮説はおおよそ間違っていないものとして進めます。

触覚を補完するから気持ち悪さが目立ちますが、「え◯まめ」を「えだまめ」で補完する際も、 「えだまめ」という言葉を知っていて、音を脳内で再生している(再入力している)というステップは同じです。 これは、イメージ補完でも同様で、網膜に補完データが映し出されることで、補完した事を認識しています。

また、これとは別に、物理反射的に「予測」するような機能は、 誘引検索過程において付随して発生する再入力結果によるものと考えています。 実感としては「可能性」を示す思考が頭をよぎるような感覚です。 今回の件では、視覚情報の入力とほぼ同時に感触が外部からやってくるように感じる事から、「予測」では無く、 「補完」であると分類します。脳のどこを動かしているか実感できないのは承知の上ですが、 体感に基づいて上記のように分類しておきます。




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