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脳内で発生するコントロール不可能な入力刺激(幻覚・夢)

これからお話しする内容はAICoreにとって必要な機能とすべきか悩ましい所ですが、脳内で発生するコントロール不可能な入力刺激について説明します。 これは、欲求がAICore外部から入力刺激を受け付ける以外に、 AICore内部で発生する無意識のコントロール不可能な刺激(再入力による欲求出力刺激なら有意識であるが無意識というのがポイント)を受け付けることで、 AICoreにどのような影響を与えるのか検討します。

この話をよく理解する為に、幻覚について解説したいと思います。

まずは、幻覚がどういうものなのか理解を深めるために、幻覚発生時の脳の活動状態について説明します。 幻覚を見ている時に脳が活動している部分は、その幻覚と同様の出来事が現実に起きている時にも同様に活動していることが分かっています。 一方、被験者に同じ事を想像してもらっても、同じ部分の活動は遥かに低いことが検証されており、 幻覚は、想像よりも、遥かに現実に近い状態で物事を認識することが分かっています。 麻薬等で幻覚症状が発生すると現実と区別がつかないといわれているのは、このような脳の活動状態にある為と考えられます。

幻覚における脳の活動状態をヒントに、幻覚症状から脳の一部の設計を紐解くことが出来そうなケースとして、 麻薬等を利用しないで幻覚を見るケースにスポットを当てたいと思います。 脳の状態が正常であっても、特定の場合に幻覚を見るケースや、意図的に幻覚を見るケースに注目することで、 脳にどのような機能が隠れていてるのかを吟味します。

特定の場合に幻覚を経験するケースでは、ボディインターフェースの欠如、もしくはボディの感度低下により、 幻覚が引き起こされることが分かっています。具体的には、「失明」や「老化による視力低下」による幻覚の発生、 それ以外にも、嗅覚を損傷して生活する人にも確認されています。

また、意図的に幻覚を見るケースでは、ボディインターフェースの感度はそのままで、外部からの入力刺激を除去したり、 一定の間、同一刺激を与えることで、結果的に認識するデータ量を抑制する方法です(いつもと同じデータは側頭葉で除外される)。 これらも同様に幻覚の発生が確認されています。

意図的に幻覚を見ることに関しては、その方法についても少し触れておきます。 その方法は2つ知られており、1つ目は、無響室によるものです。 ある研究所の無響室は、地球上で最も静かな場所と呼ばれている真っ暗な小部屋で、 3フィートの厚みの鉄板の壁と吸音体で覆われています。だいたいの人がこの部屋に入ってから20分で幻覚を見始めます。 そして2つ目は、ピンポン玉を半分に切り、テープで両目に貼ります。 更に均等に照らされている部屋で、ホワイトノイズをヘッドフォンでリラックスしながら聞くことで 30分程度で幻覚を確認する人が多いようです。

ここまでの結論として、いずれの場合においても、感覚遮断もしくは感度低下により幻覚を引き起こすことが分かります。 これは刺激ありきで論理思考が動作することの裏付けの1つとも言えるでしょう。

話は続いて、これらから導き出せる機能が存在するかどうか検討したいと思います。

まず、一説では、脳の内部には興奮させる電気信号と抑制させる電気信号があり、無響室ではこの抑制させる電気信号が弱くなり、 無関係な信号に突然意味が持たされ、これが幻覚を引き出しているのではないかという説があります。 しかし、無関係な信号とはなんなのか?という部分が明確化されておらず、信頼性の低い憶測に過ぎないため、 この説は採用しないことにします。

他にも、無意識の予測情報を脳が出力しており、この予測情報と現実の情報がうまくバランスされない為、 脳が混乱するなどの話も聞きます。予測情報とは、例えばよく知っている曲の最初を聞くと、 続きが無意識に頭の中に流れるという類のものですが、幻覚は明らかに予測範囲を逸脱している為、これも不採用です。

その他考えうる事象として、補完の機能が働いていると仮定してみます。 例えば、「えだ◯め」から「えだまめ」を補完した話の場合、人間であれば両方の入力刺激を意識する事ができ、 耳から聞こえた事と脳内で補完した結果を自意識した事との判別が可能になっています。 補完は、あくまでも再入力の機能を利用したものであり、幻覚のような初見で入力誤認するものではないことが明らかです。 よって補完も不採用です。 つまり、幻覚は過去のイメージが再入力された結果という現象ではなく、正常な脳でも幻覚は現実と見分けがつかないという話から、 自意識より前の処理となり、論理的欲求の生成よりも前、 つまりは、既存欲求が入力刺激を受けるよりも前(誘引検索前といったら分かりやすいかも。再入力の為の刺激受け付け前とも言える)に 幻覚の刺激が入力されている可能性が高いと考えられます。

では、幻覚とは一体何のための機能か?構造上のバグのようなものなのか?CELESTEEからの見解を述べようと思います。

幻覚は、視覚情報として認識していることは明らかで、網膜がなければ夢を見ることができないことからも、 自分の記憶を無意識に網膜に投影したことを証明するものではないかと考えています。 これが自意識下、つまりは、誘引検索過程で起きた現象では無さそうだというところがポイントで、 それの意味するところは網膜に投影された映像が刺激の再入力でなく、別の経路から網膜へデータが反映されたという見立てです。 これらを総合して、幻覚も夢もボディ外部からの入力刺激を無くすという意味で脳を感覚遮断、 もしくは、感度低下という状況に追い込み、このような想定外の刺激を脳内で作り出していると仮説を立てます。

つまり、ボディ外部からの入力刺激が無い状態で幻覚を見ることは、睡眠中の夢と同様の状態になり、 それは人が寝ている間に行われる脳の情報整理活動(といわれているが実際は不明。寝ている間の脳の活動という意味。)が 発動するということではないかと考えています。 いずれにせよ、全くもって機能の検討にはなっていませんが、この仮説であれば、 ひとまず睡眠や幻覚発生時のAICoreの活動(外部刺激の除去および低下時の脳の情報整理活動)は 必要のない限り実装しないこととして進めようと思います(情報整理活動はいつするのかという課題は残ります。 バックグラウンド処理でも良いような気はしています)。




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